投手陣のやりくり(高校野球)

こんにちは、野球好き大学生です。

 

今日は高校野球の投手陣のやりくりについて考えていきたいです。 

 

2020春から甲子園でも1週間に500球の球数制限が設けられます。その中で複数投手の準備が今まで以上に欠かせなくなりました。

 

レベルの高い投手がチーム内に多くいればいるほど、計算はしやすくなりますし、有利にはなると思います。

 

しかし、必ずしもレベルの高い投手陣をたくさん擁するチームが全国制覇するかと言われれば、そこは疑問が残ります。

 

そこで、レベルの高い投手の数に比例してチームは勝ち進むのかを筆者なりに考えてみました。(ここから先上から目線の口調になってしまうことも多くなってしまいすみません…)

 

では、まず近年の大会でほぼ1人の投手で勝ち進んだチームを見ていきましょう。(ベスト8以上)

 

2019春

東邦(石川)優勝

明石商(中森)ベスト4

 

2018夏

金足農(吉田)準優勝

済美(山口)ベスト4

下関国際(鶴田)ベスト8

 

2017夏

三本松(佐藤)ベスト8

 

2017春

東海大福岡(安田)ベスト8

 

2016夏

北海(大西)準優勝

木更津総合(早川)ベスト8

 

2016春

智弁学園(村上)優勝

龍谷大平安(市岡)ベスト4

明石商(吉高)ベスト8

木更津総合(早川)ベスト8

 

2015夏

仙台育英(佐藤世)準優勝

秋田商(成田翔)ベスト8

興南(比屋根)ベスト8

 

このように2015夏まで振り返ってみました。段々とほぼ1人で投げ抜く投手の数は減ってきており、2019夏はベスト8以上の高校では0人でした。ほぼ1人で投げ抜いて優勝という例も春はりますが、夏は2013年の前橋育英(高橋光)まで遡らなければないです。さらに2013年は春に済美の安楽がほぼ1人でかなりの球数を投げ、(この大会は準優勝)「危ない」などと言われ始めたくらいの年です。それだけ投手1人で優勝することは厳しいと言えると思います。(特に夏)

 

では2人の投手のやりくりで勝ち進んだ代表的なチームを見ていきましょう。

2019夏

履正社(清水、岩崎)優勝

 

2018夏

大阪桐蔭(柿木、根尾)優勝

 

2018春

大阪桐蔭(柿木、根尾)優勝

 

2017夏

花咲徳栄(綱脇、清水)優勝

広陵(平元、山本)準優勝

東海大菅生(松本、戸田)ベスト4

盛岡大付(平松、三浦)ベスト8

 

2017春

秀岳館(川端、田浦)ベスト4

 

2016春

海星(春田、土谷)ベスト8

 

2015夏

東海大相模(小笠原、吉田)優勝

花咲徳栄(鎌倉、高橋)ベスト8

 

2014夏

大阪桐蔭(福島、田中)優勝

 

2007夏

佐賀北(馬場、久保)優勝

 

このように2人の投手をある程度バランス良く使って勝ち進んだチームはこの辺りでしょう。それなりに結果が出ているパターンが多く、優勝している例も多いです。ハイレベルの投手がチームに2人いると、全ての試合で先発とリリーフをはっきりと役割分担させているチームもあれば、1試合ずつ任せていくスタンスのチームもありました。

 

他にも投手陣2人で勝ち進んだ例はありますが、上記した以外はたいていはどちらかが軸となり(いわばエース)、どちらかは2番手といった感じのやりくりでした。

(2012年春夏の大阪桐蔭の藤浪、沢田など)

 

ではここからは3人以上いるパターンを詳しく見ていきましょう。

 

2017夏 前橋育英

この年の前橋育英は、丸山、皆川、根岸、吉沢と4人の140キロオーバーの投手を擁しており、ハイレベルな投手が4人いました。どの選手も背番号1をつけれるレベルがあり、全国で通用する陣用でした。そのことが逆にどのように投手起用していくのかを難しくさせてしまったかもしれません。この状況で、誰を登板させるのかを選ぶには、やはりその時の4人の調子の関係と相手チームとの兼ね合いでしょう。しかし、本調子ではなかった場合も登板させている投手への信頼がかなりあるため、早めに見切ってしまうのも勇気が入りそうです。あとの投手にも信頼はあるので、変えるのも一つの手ですが難しいかもしれません。このパターンのようにハイレベルな選手がいすぎると逆に難しいのかもしれません。

 

2017夏 中京大中京

この年は1回戦敗退でしたが、磯村、香村、伊藤稜とレベルの高い3人の投手を擁していました。1回戦の広陵戦は磯村が先発し、好投して6回1死まで0点に抑えていました。しかし、「球威が落ちている」との判断で思い切って香村に変えました。しかし、これが完全に裏目に出てしまい、香村以下投げた投手は全員が失点してしまい敗れてしまいました。これは、香村、伊藤稜への信頼もかなり高く、それが故に磯村を引っ張らなかったのではないでしょうか。仮に磯村を引っ張っていても攻略されたかもしれません。ただこれもレベルの高い投手が揃っていたがための裏目に出た作戦とも言えると思います。

 

2007夏 帝京

この年の帝京は春夏共に高島を先発させた試合で敗れてしまいました。この年は大田、垣ヶ原の3年生2人に2年生の高島という構図でした。しかし、高島ものちにプロ入りするほどの実力投手であり、前年の智弁和歌山戦でも先発しており、この年の夏も神村学園戦では完投勝利を挙げています。つまりは全国でも十分に通用する選手なのです。夏は大田が不調でもあり、ほぼ垣ヶ原と高島のやりくりでしたが、これもやはり高島への信頼もかなり高かったがために3人で軸を作れずに先発が裏目に出た形ではないでしょうか。

 

ここまで色々と事例を見てきましたが、やはり投手陣は甲子園で勝ち進むためには複数人必要なことが多いでしょう。しかし、レベルの高い選手が3人以上揃った中で、逆に軸の選手を作ることが難しくなると、投手起用は難しくなるんだなと感じました。監督としても、レベルの高い投手がチームに多くいることは嬉しいでしょう。嬉しい悩みなのかもしれませんが、かなり難しいことですね。

 

その中で軸を作るのが難しい状況でありながらも、上手く3人以上の投手をやりくりした例は2001夏の近江ではないでしょうか。

 

近江はこの年、準優勝しましたが、「三本の矢」と呼ばれた、3人の投手リレーが大きな原動力となりました。竹内、島脇、清水と3人のレベルの高い投手が揃っていたのですが、この3人を上手く役割分担しました。それも投げる順番まで明確にしました。

 

この時は先発を竹内、中継ぎで島脇、抑えで清水と完全分業制で戦いました。

 

このように完全に役割分担をしておくと、監督としても誰を先発させるのか、といったことで迷わなくなると思います。さらに選手も毎試合同じ役割なので戸惑いやイレギュラーが少ないと思います。

 

よって3人以上のレベルの高い投手をうまくやりくりするためには、2001夏の近江のように役割分担することが最も効果的なように感じました。

 

投手陣の使い方に関しては様々な考えがあり、様々な意見があると思います。あくまで筆者の独断であり、絶対にこれが有効というものではありません。

 

では最後までご覧いただきありがとうございました。